『文読む月日』-3月7日

文学

すべての肉体労働は人間を高雅にする。子供に肉体労働を教えないのは、――彼を将来掠奪者にする準備をしているようなものである。(『タルムード』)

『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

タルムードというのはユダヤの聖典の一つですね。
古代の教育的内容などの議論がまとめられているとされています。

その中でも肉体労働について言及されていますね。
肉体労働をしない者は犯罪者予備軍であるという中々過激な主張ですね。
不労所得は悪だ、という考えは「額に汗して得たパン」などにも連綿と繋がっていますね。
金融業などは古代から代表的な悪徳として描かれてきたことが多いですね。
今はユダヤ人が金融業で大成しているというような陰謀論なども多いですがね。

トルストイはジョンロックの思想にも影響を受けていて、土地の所有は労働によってのみ正当化されるという考えを持っていました。
肉体労働が所有を正当化するものであるという考えですね。

教育についても、善い生き方を示し導くのが子供に対する大人の役目であるという考えを持っています。
悪い生き方は肉体労働をせず暮らすものであるという考えと共鳴していますね。

ですが、善い生き方ができるのはいつも不労で暮らしている身分の人たちですね。
貧すれば鈍する、深い洞察のある古代ギリシアも、栄華を極めた古代ローマも奴隷あってのアウトプットですから、善い生き方と労働のストレス(快不快)とは切り離して考えたいですね。
(もちろん奴隷制には反対です。現代だからできる今まではできなかった新しい社会・生き方があるはずです。)

コメント

タイトルとURLをコピーしました