文読む月日

文学

『文読む月日』-2月9日

この記事について子供と子供が出会うとき、彼らは喜びに満ちた笑顔をもって好意を示しあうが、変質堕落させられていない大人の場合も同じである。それなのに、ある国家の一員となると、まだ見たことさえない異国人を憎悪し、彼に苦しみと死を与えようと身構え...
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『文読む月日』-2月8日

この記事についておよそ非難は、不当な非難のみならず正当な非難でさえ、一度に三者に害毒を及ぼすものである。まず第一に非難される当人に、それから非難の言葉を聞かされる第三者に、そして何よりも非難の言葉を吐くその人に。"他人の罪を隠してやるがよい...
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『文読む月日』-2月7日

この記事について"汝らの天の父が純全なるがごとく純全なるべし"と福音書に言われている。これはキリストが人間に神様のようになれと命じているのではなく、万人は神の純全性に少しでも近づくよう努力しなければならないと言っているのである。『文読む月日...
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『文読む月日』-2月6日

この記事についてわれわれはよからぬことのゆえに欲望し、動揺し、苦悶する。真のよきものは、そうしたわれわれの欲望とは無関係なばかりでなく、むしろ欲望に反して、またしばしばよからぬことゆえの動揺や苦悶を味わったあとで、はじめて獲得されるものであ...
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『文読む月日』-2月5日

この記事について思想は自由なように見えるけれども、人間のなかには、思想を支配することのできる、思想より強い何かがある。『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳現代から言うと、『ファスト・アンド・スロー』で言われたように...
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『文読む月日』-2月4日

この記事について理性的存在者の特質は、自由なるものとして己の運命に従う点にあり、動物に特有な運命との見苦しい争いではない、ということを忘れてはいけない。(マルクス・アウレリウス)『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳...
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『文読む月日』-2月3日

この記事についてわれわれが互いに互いの生命のなかに生きながら幸福に暮らすこと、それが神の意思である。(ジョン・ラスキン)『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳ジョン・ラスキンはイギリスのキリスト教徒ですから、このど真...
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『文読む月日』-2月2日

この記事について死を忘れた生活と、刻々近づく死を意識した生活とのあいだには――天と地の隔たりがある。『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳前日はストア派哲学者でありローマ皇帝のマルクス・アウレリウスの箴言でしたが、ス...
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『文読む月日』-2月1日

この記事について人間は、自分の体も自分の精神も自分だと考えている。しかしながら人間はいつも、そして若いころなど特に、肉体のことだけに気を配る。ところが人間にとって一番大事なものは、実は肉体ではなくて精神なのだ。それゆえわれわれが最も配慮しな...
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『文読む月日』-1月31日

この記事について一部の人々が、ほかの人々の批判を許さず、お前たちはただ黙って信じさえすればいい、といった態度で宗教上の掟をでっちあげること――世の中にこれほど傲慢不遜な行為があろうか!そんな掟が人々にとってなんになろう?『文読む月日』ちくま...