『文読む月日』-3月2日

文学

君がいかなる境遇にあろうとも、そのために人間としての使命を果たすことができないと考えてはいけない。われわれは地上のいかなる地点にあろうと、等しく人間としての使命にも、無限的存在者にも近いのである。(アミエル)

『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

無限的存在者=キリスト教で言う神ですよね。
人間であるということは神の一部である霊魂を持っている=理性を持っているという理解があります。
無限的存在者に近いから偉いんだ、ということではなく、神の一部なんだから人間としての使命=善く生きることができるはずだ。というお説教ですね。

いい面としては、どんな境遇でも人間としての価値は変わらないよ、という優しい言葉とも受け取れますね。
というのも、霊肉の二元論では内面というのは物質界には影響されず、むしろ肉体より上位に存在するものという認識だからですね。

しかし、人間としての価値は固定されています。
宗教的に善く生きることが価値ですので、個人主義の自己都合の人生は価値が低いと評されることになります。
(評するのは世間や他人ではなく自分の良心であるべきですが)

このアミエルという人はおそらく19世紀スイスのカトリック教徒であるアンリ・フレデリック・アミエルという人かなと思います。
「信頼は鏡のガラスのようなものである。ヒビが入ったらもとどおり一つにはならない。」という言葉で有名なようで、トルストイも影響を受けた人物の一人ということらしいです。
カトリックには日々は入っていなかったのでしょうか。気になります。

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