もしも私の兵士たちが物を考えはじめたなら、ただの一人も軍隊に残らないであろう。(フリードリヒ二世)
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
自分が兵士だとしたらこんなこと言われたら怒ると思いますが。
このフリードリヒ2世という人は18世紀プロイセンの国王で、軍事については防衛のためだけに戦争をするべきであると公言していたそうですが、世界史的には侵略戦争をしているようですね。
思想は立派でも行動が伴わなければ価値が無い、というのはトルストイの思想によく出てきますが、取り上げている箴言の中にはこのようなものも含まれているみたいです。
思想に罪はない、その人の行いに罪がある、ということかもしれませんが・・・
こういうことをきっかけに歴史を調べてみると面白いですね。
歴史でいうと、イギリスから独立するインドにあって、非暴力・不服従を実践したガンジーとトルストイの関係も面白いと思いました。
ガンジーはトルストイの思想に共感し、更にトルストイはガンジーへ向けてその行動について称賛の手紙を送っているそうです。
ガンジーの非暴力の考えは、真理、神、愛が強く関係しているそうですから、トルストイの考えるキリスト教的な思想と非常に親和性があります。
あの時代の潮流として、ガンジーやトルストイのような考えが生まれやすい雰囲気があったのかもしれません。
裏を返すと、当時複雑になってきた国際関係とナショナリズムの反動として、素朴で万人と繋がる思想が育まれたのかもしれません。
今に至るまで連綿と続いている人びとの行いが歴史になって続いていると考えると、今生きている自分には関係ないものではなく、むしろそのただ中に居る感じがして歴史も面白くなるのではないでしょうか。
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