完全性は神の本性であり、完全性を願うは人間の本性である。(ゲーテ)
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
一神教の世界観を成り立たせるものとして、神の絶対性がありますね。
一神教でなくとも、世界を開始させた何か大きな存在や力を想定する世界観は人間世界には普遍的です。
キリスト教も、神の完全性(=絶対性)を前提としていますね。
神の完全性と人間の不完全性の関係で謙虚さや隣人に対する同情心の動機付けをし、神の一部が人間の霊(精神)であるという考えが人間が完全になるべきという方向性を動機付けしているような気がします。
完全性を願うとは、完全無欠な神に近づきたいということだと思います。
そこにドイツロマン主義的なドラマチックさを感じることもあるでしょうが、真剣に神に近づこうとする人とは距離を取りたいですね。
少なくとも現世ではそれは叶いません。
とはいえ、ゲーテのことを調べると、汎神論的な調和を重んじていたようですから神の完全性を願う、ということが言葉通りの意味だったかについては疑問が残ります。
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