われわれ一人一人を死が待っている事実ほど確実なことはないのに、われわれはあたかもけっして死が訪れないかのような暮らし方をしている。
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
前日のテーマが人生の目的でしたから、今度は目的がはっきりした後はふらふらせず善き人生を邁進しようという流れですね。
この本には古代ローマの哲人皇帝マルクス・アウレリウスの引用もたくさん出てきますが、その思想はストア派哲学で、死についてはメメントモリという言葉が有名な通り、現実を直視する死生観が見て取れますね。
死が必ず訪れ、死ぬまでに善き人生を送らなければいけないという目的に立てば、物質的欲望を満たすための行動や不道徳は無駄でコスパ悪いという考えになるということですね。
信仰の実践と死を直視することはシナジーがあるということで、トルストイの作品でも死を身近に感じた人物は信仰に目覚めて善き人生を送るために内面が変化する様子が描写されています。
インドに行けば人生観が変わるみたいなことの宗教版が死を想え、ですね。
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