『文読む月日』-5月8日

文学

ある人が賢者に向かって、あなたは悪い人間だと世間で言ってますよ、と告げた。すると賢者は答えて言った。「みんなが私のことを何もかも知っていないから、まだありがたい。もし何もかもを知れば、もっとひどいことを言うだろう」

『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

トルストイ自身の創作した寓話を箴言として載せているのでしょうか・・・

賢者は謙虚に自己評価をしているということも読み取れますし、人間はみな罪を背負っているというキリスト教的な味も感じますね。
みな罪を背負っているのである人も世間のみんなも罪を背負っているはずですが、賢者は謙虚なので自分のことだけを言及しています。
変えられるのは自分のことだけ、自分の領分にのみ集中して自己改善をしていこうというスタンスは他の作品でも見て取れますね。
少し前に流行っていたアドラー心理学にも通じる考えだと思います。

余談ですが、昔のテレビ番組の切り抜き動画をみた時、落語家の立川談志も似たようなことを講釈していました。
自分の世代だとそんなにイメージ無いのですが、哲学みたいなことをよくしゃべっていたんですね。

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