『文読む月日』-5月4日

文学

諸君が懐く思想ないし語る思想は、結局善あるいは悪を行なう能力に転じ、因果応報となって諸君に返ってくるのである。(リュシー・マローリ)

『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

我々のいだく思想から行為が生じ、行為の責任が返ってくる。いわば自業自得な価値観ということですね。
自業自得は今でこそネガティブな面のみで使われますが、もともとはポジティブな意味も持っていました。
自分の行いがその報いとして返ってくる、情けは人の為ならずのような意味合いもあったということです。(勘違いされがちなことわざなので一応、正しい意味合いでの使用です。)

人間やはり責任という考え方が好きなようです。
自分の行いには、最後まで面倒を見て後腐れなく処理する、ということが責任をとるという意味ですね。
思想、生き方、信仰についても当然責任を持つべきと考えるのが人間のようです。

しかし、人間は肉体的・時間的な条件で考えもコロコロ変わりますし、行為も思ったことだけをできるわけではありません。
それだけに、人付き合いの中では責任という幻想が魅惑的に思えるのかもしれません。

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