富者を尊敬してはいけない。彼らの生活から遠去かり、彼らを憐れまなければならない。富者は己れの富を誇るべきでなく、これを恥じなければならない。
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
ここでは富者は弱者の富を搾取しているという前提があります。
貧富の差は確かにどの世でもあるものですが、それはすべて搾取によるものという考えがあります。
特にトルストイの時代のロシアは土地が中心の経済でしたから、特に持つ者持たざる者の力関係が大きかったようで、現在よりも直接的に搾取する地主と搾取される小作人の関係は強かったようです。
憐みというのも、信仰に適う人生を送れていない=幸福への道が歩めていないという決めつけからでしょうか。
富者が恥じるのは自分の良心との関係なのでまあ分かるのですが、富者を憐れむのはちょっと悔しさ出てませんか。
悪口を言う人に対するように、遠ざかるだけでいいのではないでしょうか。
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