『文読む月日』-5月27日

文学

いったいなぜあの人は、宗教的・政治的・学問的に、あれほど奇怪で不合理な立場を擁護するのだろうと、不思議で仕方がないことがしばしばあるが、よく調べてみれば、ただ自分の立場を擁護する保身術にすぎないのである。

『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

ネットでも不合理な用語や批判はよく見ますね。
ここで言われているのは自分の立場の擁護ですが、ネットでは相手を批判することが目的になっているような気がします。

このトルストイの言葉でイメージされるのは、上流社会のおしゃべりの間で感じたことなんだろうなということです。
良心に従った考えでは当然批判されるような社会の仕組み、出来事、考えを擁護することはつまり、その不合理によって利益を得ている立場の人々がおり、それがその人なのであるということを言っているのですね。
トルストイの良心からみた不合理はよく小説のモチーフにされます。
裁判、刑務所、軍隊、農民への抑圧などです。
そして、それを擁護するのはいつも鼻に付く貴族たちでした。そして、自分もその中の一人だったということに苦しんでいたそうです。

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