万人に向かって、この私のように振る舞え、と言えるように行動せよ。(カントによる)(訳註「汝の行為の格率が、同時に万人にとっての行為の格率でありうるごとく行為せよ」――カント)
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
「汝の行為の格率が、同時に万人にとっての行為の格率でありうるごとく行為せよ」という文章をこのように表現したのだとしたらとても分かりやすくかみ砕いてくれていますね。
「純粋実践理性の根本法則」ですよね。
トルストイは、カントの「どのような行為が道徳的であるかは定言命法によって推定する」という定言命法の考えを、人間に宿る霊の性質としてもつ良心の声と捉えたのかもしれませんね。
なぜこうも難しい言葉で難しいことを言うんだろうと常々思っていましたが、カントも敬虔なキリスト教信者と知った時に結構腑に落ちました。
キリスト教的価値観の信仰者が言いそうなことを気難しい宗教者が難しそうに言っているだけだ、と思うと読みやすくなる気がします。
もちろんそれでも難しいのですが。
少なくとも、この箴言はキリスト教的思想が色濃くあって、トルストイの立場としても親和性のある言葉であるということでしょう。
ちなみにトルストイは簡単明確に表現することを意識していたそうなので、カントとは反対ですね。
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