手で触れることのできるものだけが存在すると考えるような人々は、まだまだきわめて無知蒙昧な人々と言うべきである。(プラトン)
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
プラトンはイデアを目指す哲学者でしたから、抽象的なものを信じているのは疑う余地はないと思います。
ここではトルストイが取り上げているという点で、宗教的な真実を疑うことについて批判しているのではと思えますが、ページのテーマとしては精神が現実の事象を処理するので認識できる、というような内容でした。
なので、宗教色を取り除いて考えてもいいかなと思いました。
当時の常識の中では殊更に取り上げなければいけないテーマだったのだと思います。
スピリチュアルや超自然が直感的に信じられており、上流階級の間でも流行っていたようですから、そのようなことを論理的に捉えられるように人間の認識の仕方を提示したかったのかもしれません。
ところで、抽象的な物がある、というのは人間の五感で知覚できる形で存在するとは言えないので、その点で難しいと感じることはあるかもしれません。
イデアも信仰も概念上にしかないと言えるので、現実に他人に見せてこういうものだと説明はできません。
教えられる側が興味を持って理解しようと思わない限り共有できないのが難しいということですね。
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