目的地が遠ければ遠いほど、ますます前進が必要である。急がず、休まず、前進するがよい。(ヨセフ・マッジニ)
千里の道も一歩からみたいな話ですね。
おもしろくないのでヨセフ・マッジニとは誰なのか調べてみました。
ヨセフとは英語の形式でのつづりで、音としてはジョーゼフです。
一方、ジュゼッペはイタリア形式のつづりのヨセフで、Giuseppeと綴るらしいです。
で、日本では一般的にはジュゼッペ・マッツィーニと表記されているようです。
このジュゼッペ・マッツィーニという人は19世紀のイタリア統一運動時代の政治家でナショナリストでした。
トルストイがなぜこの人の思想を取り上げたのかパッと理解できない感じがします。
ナショナリズムは隣人愛よりも自国主義、愛国心主義でトルストイが批判していた考えだったように思いますし、政治運動は暴力を伴いました。
実際のところは分かりませんが、マッジニの政治運動は宗教的理想を掲げた、宗教的使命感でのものでもあったようです。
また、イタリア自由主義のもとヨーロッパの連帯・民主化を掲げていた点でも一目置く理由になったのかもしれません。
トルストイはマッジニの著書『I Doveri dell’Uomo』(『人間の義務について』)のロシア語訳本を通して彼の思想に触れたようです。
(こんなサイトがありました。)
一般的にトルストイの博愛主義や非暴力とマッジニの政治運動に親和性はありませんので、一定の距離を置いてはいたものの、そのような面は排除して道徳的に尊敬できる部分を抜粋して『文読む月日』に掲載したのだそうです。
一見、主義の異なる人の言動をピックアップし、尊敬できる面を見つけて自分の著書に組み込んでしまっているのは面白いですね。
ちなみに、トルストイの非暴力主義は晩年徹底されるようになりましたが、若いころは正義のためであれば暴力もやむなしというスタンスだったそうです。
宗教や思想は時代とともに変化していくものであるとも言っていましたが、自己内省の一環として人間的な成長を経たスタンスの変化を観察するというのも面白いですね。
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