『文読む月日』-3月9日

文学

武装された世界と戦争、この二つがいつの日かなくなるとしても、それはけっして皇帝たちやこの世の権力者たちの手によってではない。彼らにとって戦争はあまりにも有利だからである。戦争は、戦争のおかげで一番苦しむ人たちが、自分たちの運命は自分たちの手中にあることを悟り、戦争の災害から逃れるための最も簡単で自然な方法に訴えることによって、つまり彼らを戦場に駆り立てる者、彼らを兵士にしようとする者の命令に従うことをやめることによって、はじめてなくなるであろう。(ハルドウェンによる)

『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

兵士になることを辞めることが庶民が戦争を止める一番の方法という考えですね。

戦争は政治の手段と言われますが、トルストイの著作にも政治に対する不平不満についての考えはたまに出てきます。
ざっくりしたことを言うと、自分の生き方を政治に頼らないようにしよう、という考えだと思っています。
まさに今日の箴言にも共通する思想だと思います。
自己責任論に寄って乱暴に考えてしまうことは避けたいですが、自分の人生の責任を政治に求めるのは危険だ(自己決定を発揮できない)という考えはその通りだと思います。

特に戦争は良心に大きく関係する事柄だと思いますので、人に言われて自分の人生を使われてしまうのは嫌だと思います。
こういう思想を発表する立場の人らはある程度守られている立場ですから一般市民が感じる恐れや不安は想像上のものになってしまいますから、机上の空論と思われても仕方ないところもありそうです。
現実には国から強制されたり目先の罰則を恐れて流されてしまいがちなのは想像できますが、信仰がその歯止めになるといいですね。

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