生きとし生けるものとの有縁を感ずる妨げになるいっさいのものを、汝自身から排除するがよい。
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
隣人愛を説くキリスト教ですが、動物に対しては人間が食べるために作られたものだ、とか程度の低い生き物だから、という屁理屈で食べることや加害を正当化してきた側面もあります。
そういう考えは当時から古い考えと言われていたと思いますが、世界が繋がってきて新しい世界新しい考えを受け入れるような当時の潮流にのって、生きとし生けるものすべてに隣人愛と同じ愛を注ぐことを説いているという点が取り上げる価値なんだと思います。
トルストイの理想は菜食を通り過ぎて果実食主義でしたが、その動機は命に対する非暴力という理解です。
果実は食べられて種を増やすという点で、食べても暴力にならない(罪ではない)という考えですね。
それも、この世の命に有縁を感じ、信仰=義務としてすべての命を愛さなければいけないという思想の結果ということでしょう。
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