真の進歩、すなわち宗教的進歩と、技術的・科学的・芸術的進歩とを混同してはならない。技術的・科学的・芸術的業績は、現代に見られるように、宗教的頽廃のさなかにあっても非常に偉大でありうるのだ。
神に仕えようと思ったら、何はさておき、もろもろの迷信との闘争および宗教的意識の解明、浄化を目的とする、宗教的進歩のための闘士とならなければならない。
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
物質的な発展と、精神的な発展の2つは別々で、精神的な発展は信仰が必要という風に読めます。
精神的な成長が少なくても物質的な成長は可能で、それ自体は素晴らしいと言っているのはちょっと意外です。
ともあれ、もろもろの迷信との闘争というのは世間一般の教えからの闘争、宗教的意識の解明と浄化は宗教的な克己心による自律というふうに読めます。
トルストイは普段から物質の満足よりも精神の成長を強く訴えていますから、物質的な成長はそれはそれでいいけどちゃんと精神的成長を人生の目的にしなさいよ、と暗に言っているように読めます。
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