人間の霊は――神の灯明である(『タルムード』)
霊の本質は非常に深淵で、われわれがどんなに知ろうと思っても、絶対にそれを定義づけることはできない。
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
霊についてのことです。
教会キリスト教では三位一体を採用しており、父(神)-子(キリスト)-聖霊 を同一視していると思いますが、トルストイ自身はその解釈を否定していたと思います。
ちなみに、これは西暦325年にニケーア公会議で提唱、381年のコンスタンティノープル公会議で採択された正統教義とのこと。
300年間既に信仰されていたものに、更に56年議論して正統教義を追加する、なんだか色々考えさせられますが・・・
ともあれ、トルストイの著作を読む限り、霊は神とは別物であると考えていたと思います。
(少なくとも分身程度には別物と捉えていたのではないかと思います。)
ただし、その定義はできないと。
トルストイは老子の影響も受けていたとのことですから、老子の第一章と同じようなことも記載していますね。
老子の提唱する「道」は世界ができる前からあった根源的なものと理解していますが、トルストイの描く「神」も似通った印象を受けることがあります。
世界ができる以前からあった霊的な資質が、分かれ出て人間に宿り、そして死んだら神に戻っていく、そんな死生観を持っていたのかなと思います。
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