『文読む月日』-1月13日

文学

善き人とは誰か?信仰を有する人のみが善き人である。しからば信仰とはなんぞや?信仰とは己の意思と良心との、換言すれば普遍的理性との調和の謂である。(中国の仏教)

『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

信仰していないと善人ではないと受け取ってしまいそうですが、ここでいう信仰はもっと一般的な倫理感と言ってよいと思います。
つまり、宗教に依存せず、個人が良心と理性を成長させる努力が善良さにつながるということを言いたいのだと思います。

己の意思と良心が普遍的理性と調和すること、つまり内面の(霊のもつ)良心は(倫理的な)真理と混ざり合って安定することができ、そうすることで個人の葛藤や悩みが無くなり悟りに至ることができる、と言うと仏教的になりますね。

中道、八正道のような中庸を重視し、真理に適う、調和のとれた行いをする思想と通じていると言っていいと思います。

このように、キリスト教のみならず世界普遍に共通する一般的な倫理観をまとめ上げているところがおもしろいと思います。

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