『文読む月日』-6月2日

文学
全世界とそのなかにあるいっさいは素晴らしい。しかしながら世界中で一番素晴らしいのは――徳高き女性である。 (マホメット)
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

この日のテーマは女性の仕事、役割というような内容でした。
女性という性に着目したテーマですのでジェンダー的な議論はあるかもしれませんが、意外にも現代のジェンダーレスに通ずる考えも見て取れました。
しかし、その表現の仕方はやはり男性優位社会の価値観が見て取れましたので不快に思う人もいるかもしれません。

女性は男性ができることは何でもできるし、男性にできないこと――つまり、出産と初期の育児――ができる。
人類の人生の目標は信仰の実践と置いたうえで、女性は女性にしかできないことに注力すべきで、それが徳であるというような意見でした。
まあ、個人主義で人生の目標を多様に捉える現代ではこういう言いきり方は色々怖い感じがしますね。

ところで、おもしろかったのは、男性はもっと妊婦を手伝って家事をしろとか、暇なくせにそうしないで無駄なことに時間を浪費することは恥ずかしい事であるとか、出産は自己犠牲の学校であるとかいう箴言も載っていたことです。
(他の箴言を見れば、女性の最大の仕事である出産を手伝わないことは人類の存続に貢献していないから恥ずかしいことだ、という現代の感覚とはギャップのある思想があることが分かりますが)

健全な社会を守りつつ、色々な生き方が選択できる世のなかになったらいいですね。

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