『文読む月日』-8月4日

文学
真の生活は、自己棄却が始まったときやっと始まるのである。 (カーライル)
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

このカーライルは、トマス・カーライルのことだと思います。
19世紀イギリスの評論家とのことですが、近代資本主義に対する批判的な姿勢はトルストイと通じるところがあったようです。

自己棄却とか現世利益の放棄は反資本主義ですもんね。欲が無ければ個人に資本なんか要りませんから。
ただ、それが行き過ぎて肉体とか安全とか命とか、そういうものまで軽視するので共感ができません。
カーライルもトルストイも言ってしまえば社会主義派だとは思うのですが、当時は産業革命が起こった時代でしたから、その反動という部分も大いにあるのではないでしょうか。
カーライルはトルストイより少し年上で、イギリス人ですから産業革命真っただ中ですね。
労働者は大人だけでなく子供も過酷な使い捨て労働者として生きるしかなかったというような状況ですから、それは批判もしたくなるでしょう。
ロシアはヨーロッパ各国に少し遅れてクリミア戦争敗戦後から産業革命の波に乗り、やはり資本主義の功罪を感じたわけです。

自由な資本経済、大規模工業のメリットはありつつその残酷さや変革に対して人間の在り方を観察した2名がキリスト教の中に解決を求めたという共通点がありますね。

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