知らざることを恐れず、偽りの知識を恐れるがよい。この世の悪はすべて偽りの知識から生ずる。
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
トルストイはこの本の中で迷妄、欺瞞、しったかぶりなど色々なテーマで間違った知識、間違った信仰に気をつけろと警告をしています。
あらゆる悪は偽りの知識が原因という主張で、つまり人間自体については性善説の立場です。
一般的には色々なことを知っている方が偉かったり正しかったりするように思えますが、多読は毒、無益な学問に傾倒するより実践的な信仰をという主張もしており、知りすぎるよりは知らない方がよいというのは度々出てきます。
知識はすくなくとも、善良な心が大事で、それに従って素直に生活できることを第一に考えている信仰ですから、それはそれでいいのかもしれません。
ただ、知識があるからこそトルストイはこのような思想を広められたのであり、(飛躍しますが)奴隷がいたからこそ哲学が進化し道徳や善悪を区別できるようになったという事実があるわけですから、一面的にあれは良いこれは悪いということでもない気がします。
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