もし人々が、世界を救いたいと思う代わりに自分を救いたいと思いさえすれば、さらにはまた、人類を解放したいと思う代わりに自分自身を解放したいと思いさえすれば――彼らは世界を救うため、あるいは人類を解放するために、どれだけ大きな貢献ができることだろう!(ゲルツェン)
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
ゲルツェンという人は農奴解放実現に貢献し、「社会主義の父」と言われるようなロシアの哲学者だそうです。
トルストイとほぼ同時期のロシア人ですね。
この言葉は今まで出てきた箴言の中でも結構意味深い言葉だと思います。
実生活を取り囲む色々なことについて色々な箴言を取り上げてきていましたが、包括的な解決案がこの箴言になっていると思われます。
当時はヨーロッパ各国革命や独立の機運が高まっている時期で、ロシアはその抑圧や対立のため戦争をしていました。それも、愛国心や宗教、歴史的正当性などを大義名分に使っていました。
戦争をしないためには――兵士一人一人に至るまでが良心にしたがうこと
政治をよくするには――国民一人一人にいたるまでが良心にしたがうこと
このようなことをトルストイは個別的に書いていました。
自分を救う、自分を解放する、という言葉がどこまで宗教的な意味合いを持っているかまでは分かりませんが、霊を尊重し、愛でつながるようなことを意味するのであれば同じ考えだったことになります。
だからこそこの本に取り上げられているのかもしれません。
大義名分では他人はおろか、自分を救うことも解放することもできないということはもっと意識されるとよいですね。
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