『文読む月日』-6月18日

文学
われわれの霊のなかには、もしわれわれがそれに対してしかるべき注意を払うならば、必ず最大の感嘆の念をもって眺めずにいられない何者かがある(その感嘆の念が当然のものであるならば、それは同時に必ず、われわれの霊を高めずにはおかない)。その何者かこそ、われわれの内に宿る原初的道徳性である。(カント)
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

カントはなぜ小難しくするんですかね。
『たんなる理性の限界内の宗教』や『視霊者の夢』でも読み取れるように、宗教的事柄でも理性で理解、判断できるものでなければならないというスタンスでした。
特に言ったもの勝ちみたいなスピリチュアルな話に価値を付けなかったことが理性的と言えるのでしょう。

しかしやはりキリスト教は思想の根本に据えて宗教者としての思想でしたので神、霊、物質という関係性に捉われていたといえるでしょうね。
カントはキリスト教の理論を道徳原理に再解釈するということで、やはり非キリスト教圏の人にも普遍的に通底する感覚に迫ることはなかったのだと思います。
理性と霊と良心がまぜこぜになってしまうことがキリスト教的思想の難しい点かもしれません。

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