『文読む月日』-6月15日

文学
もしある人を、その人のなかの神、すなわち善を愛することなしに愛するならば、そのような愛は、結局、幻滅と苦悩をもたらすだけである。
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

精神、霊、愛、善は同じように語られることが多く、文脈によって使われ方が様々です。
共通するのは、神性の一部であり、人間の本質的ないい部分、信仰的にポジティブな部分として語られますね。
逆に、物質的なもの、肉体、欲望、悪というのは何かとダメだダメだと言われています。
というのも、現世が辛いからだと思われます。
物質的な欲求は常に更新されていき永続的な満足がありませんから、それで苦しみが発生してしまうと。なので精神的な満足、成長、神性への憧れみたいな影が濃くなっていったのかもしれません。

人間の善の心で相手の精神を愛するということは、物質的現世的な互助は度外視しての繋がりになります。
物質的現世的な互助を期待すると裏切られることになるし、裏切りとまでは言わなくても物質は変化していきますから幻滅や苦悩に繋がる危険があるという考えだと思います。
心も物質で出ているという立場には立てない考えですね。

神性も物質から成ると言えれば楽になるのにと思います。

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