『文読む月日』-4月27日

文学

人間というものは、いつも自分にとって最善と思われるような行為をするものだ、ということをよくわかってほしいし、けっして忘れないでいてほしい。もしその行為が本当に彼のために最善のものなら、彼は正しいわけである。またもし間違っていれば、それだけ彼は不幸である。なぜならあらゆる迷妄には必然的に苦悩が伴うからである。もし君が以上のことをいつも忘れないでいれば、君は誰にも腹を立てず、憤慨もせず、誰も非難したり攻撃したりせず、誰にも敵意を懐かないであろう。(エピクテトス)

『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

なんだか回りくどい文ですが、要は相手の立場に立って思いやりを持とうということだと思います。
その人にはその人の事情があるし、もしその考えが間違っていたらその人は苦しむので可哀そうな人だと。
なので、同情心を持つべきであって腹を立てたり敵対心を持つことはやめるべきということですね。

エピクテトスは紀元1-2世紀の人ですが、そのころから人間って変わらないんだなというのはこういう処世術みたいなものを見るといつも思いますね。
時間のフィルターにかかって変わらない部分だけ語り継がれているというのもあると思いますが、むしろそれが人間社会の不変な部分を暗示していますね。

生物的には何万年、何十万年かけて生態や形質を変化させてきた中で、人類史数千年の歴史というのは実はそれほど変化はないのかもしれませんね。
体のつくりやホルモンの変化があれば精神的に変化するのだと思います。そうなるとこのような処世術には共感できなくなっていくのでしょうね。
もしかしたらこういう古代からのライフハックに共感できなくなった部分は脳やホルモン分泌のバランスが進化あるいは退化してしまった部分なのかもしれませんね。

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