『文読む月日』-3月16日

文学

もしもすべての知識が真実の知識であれば、どんな知識でも有益だということになる。しかしながら往々にして人々の誤った考えが知識と称されるからして、自分が獲得したいと思う知識の選択に当たっては、どんなに厳しく吟味しても厳しすぎるということはない。

『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳

当時は今ほど情報が氾濫していなかった時代ですが、その当時ですら悪書や迷妄といった害悪の氾濫には注意せよと言われていました。
他のページでも、多読は毒だとか、真に有用な情報以外は入れない方がよいといった情報の取捨選択について言及されています。

今の時代にあっては、インターネットを代表に様々な情報が出回るにあたり情報リテラシーやネットリテラシーのような言葉が流行して久しくなりました。
ただ、本質は当時の言葉と全く同じで、もっと言うと古代から普遍的に言われ続けてきていることなんですね。
モノやラッピングが変わっても人間がそれぞれの立場で発信したものが、どんな意図で発信され、どんな利害があるのかは吟味しないといけませんね。

個人的には、現在のイデオロギーや流行が去っても有難がられている思想や哲学といったものがより普遍的で真実の知識と言えるのではないかと思います。
時代がフィルタリングしてくれていると言いますか。
自分では分からない時にはそんな選び方もしてみます。
外国映画はクオリティが高いものばかりだと勘違いするのと同じ原理ですね。

逆に今の時代の方が、この箴言のありがたみを実感し易いのではないでしょうか。

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