死を忘れた生活と、刻々近づく死を意識した生活とのあいだには――天と地の隔たりがある。
『文読む月日』ちくま文庫 レフ・トルストイ 作 北御門二郎 訳
前日はストア派哲学者でありローマ皇帝のマルクス・アウレリウスの箴言でしたが、ストア派哲学では、「メメント・モリ」(死を想え)という言葉が有名ですね。
ストア派の哲学者たちは、「死を思うことで、人生の本質を見極められる」と考えていました。
また、パスカルも人は死を直視しないために気晴らしをする、というように逆説的に死を意識した人生に価値を見出しています。
トルストイの作品の中では、肉体的欲求を追求する生活態度を更生させるのは身近な人の死だったり、苦境だったりしますね。
『アンナ・カレーニナ』で兄の死を見つめたリョービンの描写は典型なのではないでしょうか。
ところで、私はステパンのキャラクターが好きですが、彼は一生更生しなさそうですね。
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